2015年12月26日土曜日

anxiety comorbidity in S

統合失調症患者は不安症状を持っている。その不安は病的なのか、と考えた。そもそも統合失調症(以下S)は不安障害を合併しうる。以下、統合失調症における不安障害の合併についてAnxiety comorbidity in schizophrenia.Psychiatry Research;2013:210:1-7の内容を紹介する。
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・Sスペクトラムにおける不安障害の合併はある報告では38.3%であった。そのうち、社交不安障害が14.9%であった。そのほかはPTSD、強迫性障害、全般性不安障害、パニック障害、特定の恐怖症であった。


<経過>
・不安はSの臨床症状や予後に影響する。
 ・Sリスクの高い人をフォローした研究では、社交不安はS発症のリスクであった。
 ・強迫性障害、パニック障害もSのリスクを高める
 ・不安障害の存在は予後不良
・不安が強いことは病識が良いことと関連していたが、一方で幻覚や抑うつの強さ、希望のなさ、機能低下と関連していた
・環境因子もSにおける不安に影響する
 ・家族との関係がよくないことは不安を増強させる
 ・家族への心理教育は有効
・精神症状の重症度、全般的な機能低下、QOLの低下にも影響する。
・認知機能障害との関連を示すデータは乏しい
・一方で不安障害の合併はSのアウトカムに有益な点もあるとする研究もある


<治療>有効であるというエビデンスがあるもの
・社交不安障害:アリピプラゾール、認知行動療法(CBT)
・PTSD;精神療法
・強迫性障害:三環系抗うつ薬、SSRI、CBT、曝露反応妨害、ECT
・パニック障害;アルプラゾラム、ジアゼパム、イミプラミン、CBT
・不安症状に対してのアプローチとしてprogressive muscle relaxation trainingやmindfulness trainingは有効的らしい
※常にアカシジアでないかを鑑別する必要がある

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