Q外で末梢性の顔面神経麻痺を見たときにどうすればよいか?MRIは必要か?等々の疑問からUp To Date ❝Bell’s palsy: Pathogenesis, clinical features, and diagnosis in adults❞とBell’s palsy: a summary of current evidence and referral algorithm.Family Practice;2014:31(6):631-42より
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・85%は3週間で改善し、71%は完全に回復する。13%は軽度の麻痺を呈し、16%は顔面の非対称などの重度の麻痺を残す。
・顔面神経麻痺の49-75%をBell麻痺が占める。
・HSVの再活性化
・Bell麻痺は妊娠女性、DM患者でリスクが高い。子どもでは稀。
・表情筋の麻痺により顔面の筋力低下が最も一般的な症候である。他の特徴としては、80%で舌咽神経や三叉神経領域の感覚低下、60%で顔面と後頚部の痛み、57%で味覚変化、30%で聴覚過敏、20%でC2領域の感覚低下、20%で迷走神経の低下、3%で三叉神経運動枝の低下がみられる。ドライアイ、ドライマウス、流涙は17%でみられる。
・上位運動ニューロンの障害でないかを除外する。下位運動ニューロンの障害として一般的なのは、特発性、外傷性、腫瘍性、炎症性である。炎症性の顔面神経麻痺はVZVの再活性化で生じるものがRamsay-Hunt症候群として有名であり顔面神経麻痺全体の8-34%を占める。VZV以外にもHSV、CMV、アデノ、EB、風疹、mumps、インフルB、コクサッキーなども原因となりうる。
・鑑別;中耳炎、Lyme病、Guillain-Barre症候群、HIV感染症、サルコイドーシス、シェーグレン症候群
【診断】
・びまん性に顔面神経の症候が出現する。顔面筋の麻痺を呈し、舌の前2/3の味覚消失や涙腺・唾液腺の分泌変化を伴うこともある
・発症は急性で1-2日かけて出現する。経過は進行性で3週間以内にピークに達し、6ヶ月以内に回復あるいは改善がえられる。
・誘発筋電図は麻痺の重症度や、改善の評価にしようされる。振幅の低下は軸策の変性を示唆し、潜時の延長は脱髄を示唆する。軸策変性を適切に評価するために発症3日以上経過してから行われるべきであるが、2週間以上経過したあとだと信頼性はなくなる(
・髄液検査やMRIの意義は明らかになっていない
・先駆症状として耳痛や聴力低下を呈することがある
・顔面の運動は、閉眼、まゆをあげる、まゆをひそめる、歯をみせる、口にしわをよせる、などで評価する
・前額のしわよせが片側しかできないことは中枢性であることを示唆するが末梢性の除外にはならない
・所見が非典型的で3週間以上かけて緩徐に進行するものや、4か月たっても改善しないものは画像検査が必要である。これらの症例では他の疾患がないか血液検査も考慮すべきである。
・春~秋にLyme病に罹患しうる可能性があった患者の場合はLyme病の血液検査をするべきである。特に両側性の顔面神経麻痺や他のLyme病の特徴を持つ場合は行うべきである。
【治療】
・発症72時間以内に1mg/kg/dayのステロイド。5-10日間で半量にし、終了する。
・アシクロビルは最もよく使われるが有効なのは15-30%程度
・外科的減圧術の有用性についてはエビデンスが乏しい。
・電気刺激治療や、温熱療法やマッサージは代替療法として広く使われてきたけれどもエビデンスは乏しい
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顔面神経の症候を的確に評価すること、発症までの経過を確認すること等。明らかに末梢性、と思えば救外の場面でにMRIは不要だろう。まぁとれと言われる状況が多いと思われますが。
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