マイコプラズマの診断方法について。
Daxboeck F, Krause R, Wenisch C. Laboratory diagnosis of Mycoplasma pneumoniae infection. Clin Microbiol Infect . 2003 ;9(4):263–73. より
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寒冷凝集素
・M.pneumoniaeに対して最初に反応する液性免疫として最初に形成される。感染から6週間以内に感染前のレベルに戻る。
・寒冷凝集素はM.pneumoniae感染患者の50-60%でしか陽性にならない。M.pneumoniae以外にも様々な感染によって産生される(例:EBV,CMV、Klebsiella pneumoniae、リンパ腫、自己免疫疾患など)
CF法(complement fixation test)
・感度特異度ともに十分でない。
・CF法で用いられる抗原は、M.pneumoniaeから抽出されたchloroform methanol glycolipidで、人間や細菌・異物のエピトープと交差反応をおこす。例えば、細菌性髄膜炎で免疫ブロット法では特異抗体は上昇していないにも関わらずは抗体価の上昇がみられることがある。
MAG(microparticle aggulatination assay)
・M.pneumoniaeに特異的な抗体による赤血球の凝集をみるのがこの検査方法の原理である。
※しかし、CF法もMAG法も抗体の種類を区別することができず、診断の遅れにつながる。特異的IgGは経過とともにわずかに上昇し、症状出現から5週間後に抗体価はピークに達する。通常、発症から1週間以内ではIgGは測定可能にならない。
・感染のあとは抗体は4年まで上昇がみられることがある。
・低値だけれどもIgGが測定可能である場合はしたがって、感染の早期か過去の感染を示唆する。特異的IgGが低値である場合は、2-3週間後に再度測定するべきである。
・CF法とMAG法は主観的な分析であり、診断には少なくとも4倍以上の抗体価を認める必要がある。抗体価が著名な上昇の場合(CF法で>1:80、MAG法で>1:160)の場合は抗体だけで診断が可能である。
・迅速な診断を行うにはIgMやIgAが有用かもしれない。
IgM・IgA
・感染の1週目に出現し、3週目にピークに達する。数か月間はもとのレベルまで低下しない。
・IgMによる診断の欠点は、成人ではかならずしもこれらの抗体が産生されないことであり、おそらくこれは過去の複数の感染の結果による。
・したがって、高齢者ではIgMが陰性であるといってもM.pneumoniaeの急性感染を否定することはできない。
・IgMの測定は小児では有用。
・最近の研究では特異的IgAのほうが診断的性能に優れるとされている。
・IgAやIgMの検出は多くはELISA法による。様々なキットがあり、IgMの検出にはカードにより迅速に検出できる方法もある。
・これらのELISA法での検査の特異度について、M.pneumoniaeに最も近いM.genitaliumに対する抗体との交差反応に注意する必要がある。
・ウエスタンブロット法によるM.pneumoniaeの検出法もある。この方法では、他の方法よりも低い抗体価であっても検出することができる。
・脳脊髄液中での特異抗体の検出は、中枢神経へのマイコプラズマ感染が疑われた場合に有用である。
その他
・M.pneumoniaeの培養はルーチンに行うことは推奨されない。
・PCR
*LAMP法はDNAを直接検出する
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⇒血清学的な診断とdirectな診断とを組み合わせる。
マイコプラズマの肺外症状や、高齢者でのIgMの測定意義など調べたい内容は続く。
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