顔面神経麻痺について調べている中で発見。頭頚部の神経症候群について。Neurologic Syndrome of the Head and Neck. Prim Care Clin Office Pract;2014:41:133-149. まだ三叉神経痛にもお目にかかってはいないが、いずれ出会うことを期待。
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耳痛
・耳の感覚には脳神経Ⅴ、Ⅶ、Ⅸ、ⅩとC2、C3が関与
・耳痛が耳疾患の場合、耳の診察で通常異常が見つかる
・耳の診察が正常の場合は、神経痛か関連痛。鑑別は様々。
・悪性外耳道炎;耳痛に加えて顔面麻痺をきたすことがある。
・耳の診察で耳痛の説明がつかず、55歳以上で、濃厚な喫煙・飲酒歴がある場合は頭頚部癌を念頭に画像検査も検討するべき。
・側頭動脈炎の疼痛が耳に放散することもある。
副鼻腔痛(sinus pain)
・他の原因による顔面痛とよく混同される。
・急性副鼻腔炎は局所痛も関連痛もきたしうる。
帯状疱疹
・典型的には2-3日続く様々な程度の痛みが前駆症状としてみられる。
・約5%の患者が再発するが、多くは免疫不全の患者である。
・帯状疱疹後神経痛は痛みが90日間以上続くもの
・抗ウイルス薬はウイルスの複製を防ぐのに効果的であって、慢性痛を予防したり改善させたりはしない。急性期の疼痛の期間と程度を減らす。
・ステロイドも慢性痛を予防はしないけれども急性疼痛を減らす
眼部帯状疱疹
・前駆症状:強い頭痛、不快感、発熱
・痛みや感覚過敏が、患側の眼や前額・頭頂部に生じる
・発疹がデルマトームに沿って出現し、結膜炎や上強膜炎、眼瞼下垂がみられる
・発赤が鼻まで拡大してくると、角膜炎をきたしうる。角膜炎は疼痛が強い。
・眼科医に急いで相談する
Ramsay-Hunt症候群
・Bell麻痺よりも予後不良
・重度な痛みや難聴を伴う場合はBell麻痺よりもこの診断を考えるべき。
・発症3週間を経過するまでは麻痺の回復は予測できない
・発症72時間以内に治療が開始されれば約75%の患者は回復する。よって早期に診断することが重要。
顔面神経麻痺
・腫瘍性を疑うべき場合
・緩徐、進行性の発症
・進行性で遷延する麻痺で改善しない(Bell麻痺なら通常3週間以内である程度は改善する)
・痛みがある/あった
・他の脳神経の関与がある
・局所の皮膚腫瘍の既往がある
・両側性、発症2-3週間で改善しない場合には神経科医に相談するべき
・小児の場合は約70%が2次的な原因で生じていると同定できる
・Lyme病蔓延地域以外では、小児の顔面神経麻痺のもっとも一般的な原因は急性中耳炎である。中耳炎の発症5-8日で麻痺が出現する。
・Lyme病での顔面神経麻痺は片側性のことも両側性のこともある。2か月程度続くこともある。無痛性でやわらかくない顔面の腫脹と紅斑が顔面神経麻痺の発症前にみられることがある。
・新生児の顔面神経麻痺の78-90%は分娩時の損傷による
上咽頭神経痛
・稀。性差は特にない
・上咽頭神経は迷走神経の枝である。頸動脈分岐部に隣接していて喉頭の輪状甲状筋を支配する
・典型的には数秒から数分続く電撃痛である。甲状軟骨または梨状窩側から下顎、ときに耳にかけて痛みが生じる。左側のことが多い。誘発部位は甲状軟骨の上側面。痛みの発作は、嚥下、声を張る、あくび、頭をうごかす、首をひっぱる、咳、いびき、会話、鼻をかむなどによって引き起こされる。
・原因:インフルエンザなどの先行感染、扁桃摘出や頸動脈内膜剥離術などの手術による瘢痕化
・鑑別:舌咽神経痛、中間神経痛(顔面神経の枝)、頸動脈痛、頭頸部癌
・上咽頭神経ブロックでの症状改善は診断につながる。カルバマゼピンも有用。
三叉神経痛
・通常50歳以上に生じる。女性に多い。
・誘発部位:顔面、鼻、唇に位置し、通常大きくはない。
・持続は通常数秒だが1-2分続くこともある。頻度は様々。95%が片側性。神経学的徴候は明らかにならない。睡眠中には起こらない。第2枝(上顎神経)が最も侵され、次いで第3枝(下顎神経)が多い。
・原因・鑑別:たくさんある。多発性硬化症、脳底動脈瘤、腫瘍、脳幹梗塞
・カルバマゼピン。その他、バクロフェン、クロナゼパム、バルプロ酸、ラモトリギン、などなど
舌咽神経痛
・稀。
・中咽頭から耳にかけての疼痛。喉や耳の深部の痛みとして感じられる。持続は通常数秒~1分程度。痛みの発作は嚥下、咀嚼、咳、いびき、会話、あくび、特定の味覚、首や外耳道へ触れることなどによって引き起こされる。
・誘発部位:耳介前部・後部、頸部、喉、外耳道
・三叉神経痛の第3枝に限局したものと混同されうる
・原因・鑑別;腫瘍、Chiari奇形1型、梗塞、動脈による圧迫、椎骨動脈解離
・トリガーポイント注射での症状改善は診断につながる。身体診察では通常異常はみつからない。治療はカルバマゼピンなど三叉神経痛に準じる。
中間神経痛
・きわめて稀
・中間神経は顔面神経の小さな枝で、内耳、中耳、乳突蜂巣、耳管、耳介の一部を支配する。
・通常耳の深部の痛み。眼窩の奥や後鼻腔の痛みとして出現することもある。発作の間、苦味を感じる場合がある。持続は通常数秒~数分。
・誘発部位;外耳道後壁。
・耳に限局した舌咽神経痛との鑑別は困難
・治療は三叉神経痛に準じる。
傍三叉神経症候群
・稀。中年、男性に多い
・三叉神経領域、特に眼神経領域の感覚低下。三叉神経支配筋の筋力低下、すなわち咀嚼や嚥下の問題が生じる。通常、症状は激烈ではない。Horner症候群に類似した眼交感神経の両側の麻痺、通常縮瞳と下垂を呈することもある。Horner症候群とは異なり、顔面の発汗は障害されない。
・他の脳神経も障害されうる(2,3,4,5,6)。外傷や腫瘍が原因となる
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顔面神経の論文を読み既に、診断時のMRIに大きな意義がないことを知ってはいる。実際は撮ってしまっているが。顔面神経麻痺に抗ウイルス薬をだすかは、痛みが早くなくなるのならよいのだろうが、ルーチンで高価な薬を出さないように、一歩止まって考えられるようにしたい。
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