2016年1月4日月曜日

頭頚部の神経症候群

顔面神経麻痺について調べている中で発見。頭頚部の神経症候群について。Neurologic Syndrome of the Head and Neck. Prim Care Clin Office Pract;2014:41:133-149. まだ三叉神経痛にもお目にかかってはいないが、いずれ出会うことを期待。
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耳痛
・耳の感覚には脳神経Ⅴ、Ⅶ、Ⅸ、ⅩとC2、C3が関与
・耳痛が耳疾患の場合、耳の診察で通常異常が見つかる
・耳の診察が正常の場合は、神経痛か関連痛。鑑別は様々。
 ・悪性外耳道炎;耳痛に加えて顔面麻痺をきたすことがある。
 ・耳の診察で耳痛の説明がつかず、55歳以上で、濃厚な喫煙・飲酒歴がある場合は頭頚部癌を念頭に画像検査も検討するべき。
 ・側頭動脈炎の疼痛が耳に放散することもある。
副鼻腔痛(sinus pain)
・他の原因による顔面痛とよく混同される。
・急性副鼻腔炎は局所痛も関連痛もきたしうる。
帯状疱疹
・典型的には2-3日続く様々な程度の痛みが前駆症状としてみられる。
・約5%の患者が再発するが、多くは免疫不全の患者である。
・帯状疱疹後神経痛は痛みが90日間以上続くもの
・抗ウイルス薬はウイルスの複製を防ぐのに効果的であって、慢性痛を予防したり改善させたりはしない。急性期の疼痛の期間と程度を減らす。
・ステロイドも慢性痛を予防はしないけれども急性疼痛を減らす
眼部帯状疱疹
・前駆症状:強い頭痛、不快感、発熱
・痛みや感覚過敏が、患側の眼や前額・頭頂部に生じる
・発疹がデルマトームに沿って出現し、結膜炎や上強膜炎、眼瞼下垂がみられる
・発赤が鼻まで拡大してくると、角膜炎をきたしうる。角膜炎は疼痛が強い。
・眼科医に急いで相談する
Ramsay-Hunt症候群
・Bell麻痺よりも予後不良
・重度な痛みや難聴を伴う場合はBell麻痺よりもこの診断を考えるべき。
・発症3週間を経過するまでは麻痺の回復は予測できない
・発症72時間以内に治療が開始されれば約75%の患者は回復する。よって早期に診断することが重要。
顔面神経麻痺
・腫瘍性を疑うべき場合
 ・緩徐、進行性の発症
 ・進行性で遷延する麻痺で改善しない(Bell麻痺なら通常3週間以内である程度は改善する)
 ・痛みがある/あった
 ・他の脳神経の関与がある
 ・局所の皮膚腫瘍の既往がある
・両側性、発症2-3週間で改善しない場合には神経科医に相談するべき
・小児の場合は約70%が2次的な原因で生じていると同定できる
・Lyme病蔓延地域以外では、小児の顔面神経麻痺のもっとも一般的な原因は急性中耳炎である。中耳炎の発症5-8日で麻痺が出現する。
・Lyme病での顔面神経麻痺は片側性のことも両側性のこともある。2か月程度続くこともある。無痛性でやわらかくない顔面の腫脹と紅斑が顔面神経麻痺の発症前にみられることがある。
・新生児の顔面神経麻痺の78-90%は分娩時の損傷による
上咽頭神経痛
・稀。性差は特にない
・上咽頭神経は迷走神経の枝である。頸動脈分岐部に隣接していて喉頭の輪状甲状筋を支配する
・典型的には数秒から数分続く電撃痛である。甲状軟骨または梨状窩側から下顎、ときに耳にかけて痛みが生じる。左側のことが多い。誘発部位は甲状軟骨の上側面。痛みの発作は、嚥下、声を張る、あくび、頭をうごかす、首をひっぱる、咳、いびき、会話、鼻をかむなどによって引き起こされる。
・原因:インフルエンザなどの先行感染、扁桃摘出や頸動脈内膜剥離術などの手術による瘢痕化
・鑑別:舌咽神経痛、中間神経痛(顔面神経の枝)、頸動脈痛、頭頸部癌
・上咽頭神経ブロックでの症状改善は診断につながる。カルバマゼピンも有用。
三叉神経痛
・通常50歳以上に生じる。女性に多い。
・誘発部位:顔面、鼻、唇に位置し、通常大きくはない。
・持続は通常数秒だが1-2分続くこともある。頻度は様々。95%が片側性。神経学的徴候は明らかにならない。睡眠中には起こらない。第2枝(上顎神経)が最も侵され、次いで第3枝(下顎神経)が多い。
・原因・鑑別:たくさんある。多発性硬化症、脳底動脈瘤、腫瘍、脳幹梗塞
・カルバマゼピン。その他、バクロフェン、クロナゼパム、バルプロ酸、ラモトリギン、などなど
舌咽神経痛
・稀。
・中咽頭から耳にかけての疼痛。喉や耳の深部の痛みとして感じられる。持続は通常数秒~1分程度。痛みの発作は嚥下、咀嚼、咳、いびき、会話、あくび、特定の味覚、首や外耳道へ触れることなどによって引き起こされる。
・誘発部位:耳介前部・後部、頸部、喉、外耳道
・三叉神経痛の第3枝に限局したものと混同されうる
・原因・鑑別;腫瘍、Chiari奇形1型、梗塞、動脈による圧迫、椎骨動脈解離
・トリガーポイント注射での症状改善は診断につながる。身体診察では通常異常はみつからない。治療はカルバマゼピンなど三叉神経痛に準じる。
中間神経痛
・きわめて稀
・中間神経は顔面神経の小さな枝で、内耳、中耳、乳突蜂巣、耳管、耳介の一部を支配する。
・通常耳の深部の痛み。眼窩の奥や後鼻腔の痛みとして出現することもある。発作の間、苦味を感じる場合がある。持続は通常数秒~数分。
・誘発部位;外耳道後壁。
・耳に限局した舌咽神経痛との鑑別は困難
・治療は三叉神経痛に準じる。
傍三叉神経症候群
・稀。中年、男性に多い
・三叉神経領域、特に眼神経領域の感覚低下。三叉神経支配筋の筋力低下、すなわち咀嚼や嚥下の問題が生じる。通常、症状は激烈ではない。Horner症候群に類似した眼交感神経の両側の麻痺、通常縮瞳と下垂を呈することもある。Horner症候群とは異なり、顔面の発汗は障害されない。
・他の脳神経も障害されうる(2,3,4,5,6)。外傷や腫瘍が原因となる
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顔面神経の論文を読み既に、診断時のMRIに大きな意義がないことを知ってはいる。実際は撮ってしまっているが。顔面神経麻痺に抗ウイルス薬をだすかは、痛みが早くなくなるのならよいのだろうが、ルーチンで高価な薬を出さないように、一歩止まって考えられるようにしたい。

2016年1月1日金曜日

Autopsy in Palliative Care

緩和ケア病棟と剖検について。日本の文献も探したが、メディカルオンラインで引っかかったのが学会発表の抄録のみであった。看護研究でありそうだけどなと思いながらも、楽に探せるPubMedで検索。The Potential Use of Autopsy for Continuous Quality Improvement in Hospice and Palliative Care.Medscape J Med. 2008; 10(12): 289のごく一部のみ。さらなる他の文献の読み込みが必要そうだが、とりあえずの公開。
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緩和ケア領域での剖検について、関係者からのインタビューをまとめたものではいくつかの問題点が浮かび上がった。
①剖検は疑問に答えないかもしれない
 剖検によって、死が早すぎたかを明らかにすることや、死が訪れるかということを知りえたかという疑問を明らかにすることはできない。だが、家族が死が早すぎたと信じるのは、それが実際に早かったからというよりはむしろ、死が差し迫っていることを医療従事者は知っていたのに十分な準備ができなかったから、であると考えられている
②剖検の結果は、quality of careのプロセスやケアの改善に体系的には用いられない
 一般化するだけのデータがない。また診断のエラーがあった場合、たいてい診断の間違いは患者がホスピスに来る前に起きていて、剖検で新しい診断の情報が得られたところで前医と立ち向かうことはしたがらない、
③費用
 支払いに見合うだけの価値があるのか “bang for the buck”。ホスピスの患者の最大の関心毎は、死まで尊厳をもって扱われたかということで、この答えは剖検によっては得られない
④意図しない結果を招くかもしれない
 剖検は家族に平穏をもたらさないし、自然な悲しみの反応を遅れさせるかもしれない
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2015年12月30日水曜日

Bell麻痺

Q外で末梢性の顔面神経麻痺を見たときにどうすればよいか?MRIは必要か?等々の疑問からUp To Date ❝Bell’s palsy: Pathogenesis, clinical features, and diagnosis in adults❞とBell’s palsy: a summary of current evidence and referral algorithm.Family Practice;2014:31(6):631-42より
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・85%は3週間で改善し、71%は完全に回復する。13%は軽度の麻痺を呈し、16%は顔面の非対称などの重度の麻痺を残す。
・顔面神経麻痺の49-75%をBell麻痺が占める。
・HSVの再活性化
・Bell麻痺は妊娠女性、DM患者でリスクが高い。子どもでは稀。
・表情筋の麻痺により顔面の筋力低下が最も一般的な症候である。他の特徴としては、80%で舌咽神経や三叉神経領域の感覚低下、60%で顔面と後頚部の痛み、57%で味覚変化、30%で聴覚過敏、20%でC2領域の感覚低下、20%で迷走神経の低下、3%で三叉神経運動枝の低下がみられる。ドライアイ、ドライマウス、流涙は17%でみられる。
・上位運動ニューロンの障害でないかを除外する。下位運動ニューロンの障害として一般的なのは、特発性、外傷性、腫瘍性、炎症性である。炎症性の顔面神経麻痺はVZVの再活性化で生じるものがRamsay-Hunt症候群として有名であり顔面神経麻痺全体の8-34%を占める。VZV以外にもHSV、CMV、アデノ、EB、風疹、mumps、インフルB、コクサッキーなども原因となりうる。
・鑑別;中耳炎、Lyme病、Guillain-Barre症候群、HIV感染症、サルコイドーシス、シェーグレン症候群
【診断】
・びまん性に顔面神経の症候が出現する。顔面筋の麻痺を呈し、舌の前2/3の味覚消失や涙腺・唾液腺の分泌変化を伴うこともある
・発症は急性で1-2日かけて出現する。経過は進行性で3週間以内にピークに達し、6ヶ月以内に回復あるいは改善がえられる。
・誘発筋電図は麻痺の重症度や、改善の評価にしようされる。振幅の低下は軸策の変性を示唆し、潜時の延長は脱髄を示唆する。軸策変性を適切に評価するために発症3日以上経過してから行われるべきであるが、2週間以上経過したあとだと信頼性はなくなる(
・髄液検査やMRIの意義は明らかになっていない
・先駆症状として耳痛や聴力低下を呈することがある
・顔面の運動は、閉眼、まゆをあげる、まゆをひそめる、歯をみせる、口にしわをよせる、などで評価する
・前額のしわよせが片側しかできないことは中枢性であることを示唆するが末梢性の除外にはならない
・所見が非典型的で3週間以上かけて緩徐に進行するものや、4か月たっても改善しないものは画像検査が必要である。これらの症例では他の疾患がないか血液検査も考慮すべきである。
・春~秋にLyme病に罹患しうる可能性があった患者の場合はLyme病の血液検査をするべきである。特に両側性の顔面神経麻痺や他のLyme病の特徴を持つ場合は行うべきである。


【治療】
・発症72時間以内に1mg/kg/dayのステロイド。5-10日間で半量にし、終了する。
・アシクロビルは最もよく使われるが有効なのは15-30%程度
・外科的減圧術の有用性についてはエビデンスが乏しい。
・電気刺激治療や、温熱療法やマッサージは代替療法として広く使われてきたけれどもエビデンスは乏しい
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顔面神経の症候を的確に評価すること、発症までの経過を確認すること等。明らかに末梢性、と思えば救外の場面でにMRIは不要だろう。まぁとれと言われる状況が多いと思われますが。

2015年12月26日土曜日

anxiety comorbidity in S

統合失調症患者は不安症状を持っている。その不安は病的なのか、と考えた。そもそも統合失調症(以下S)は不安障害を合併しうる。以下、統合失調症における不安障害の合併についてAnxiety comorbidity in schizophrenia.Psychiatry Research;2013:210:1-7の内容を紹介する。
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・Sスペクトラムにおける不安障害の合併はある報告では38.3%であった。そのうち、社交不安障害が14.9%であった。そのほかはPTSD、強迫性障害、全般性不安障害、パニック障害、特定の恐怖症であった。


<経過>
・不安はSの臨床症状や予後に影響する。
 ・Sリスクの高い人をフォローした研究では、社交不安はS発症のリスクであった。
 ・強迫性障害、パニック障害もSのリスクを高める
 ・不安障害の存在は予後不良
・不安が強いことは病識が良いことと関連していたが、一方で幻覚や抑うつの強さ、希望のなさ、機能低下と関連していた
・環境因子もSにおける不安に影響する
 ・家族との関係がよくないことは不安を増強させる
 ・家族への心理教育は有効
・精神症状の重症度、全般的な機能低下、QOLの低下にも影響する。
・認知機能障害との関連を示すデータは乏しい
・一方で不安障害の合併はSのアウトカムに有益な点もあるとする研究もある


<治療>有効であるというエビデンスがあるもの
・社交不安障害:アリピプラゾール、認知行動療法(CBT)
・PTSD;精神療法
・強迫性障害:三環系抗うつ薬、SSRI、CBT、曝露反応妨害、ECT
・パニック障害;アルプラゾラム、ジアゼパム、イミプラミン、CBT
・不安症状に対してのアプローチとしてprogressive muscle relaxation trainingやmindfulness trainingは有効的らしい
※常にアカシジアでないかを鑑別する必要がある

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2015年12月14日月曜日

救外でうつ病・自殺企図の患者に出会ったら

救急外来で自殺企図の患者を2連続で診たときに探した論文、The Depressed Patient And Suicial Patient In The Emergency Department: Evidence-Based Management And Treatment Strategies. Emergency Medicine Practice;2011:13(9)より。あまり有益な情報はなく読んでいる途中で飽きたので(以下略)とし、あとは気になったtableの内容について書いた。
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Q外を受診する精神疾患で最も多いのは気分障害(42.7%)であり、次いで不安障害(26.1%)、アルコール関連(22.9%)である。自殺企図も多い。だがQ外でのこれらの診断やマネジメントについては標準化されたガイドラインはない。Q外において気分障害の患者にケアをするのに複雑なのは、主訴にも副次的な訴えにもなりうることである。しばしばうつ病は一見関係のない身体的な主訴に関係していることもある。


Q外での評価
うつ病/自殺企図の患者は病歴、身体所見、全体的な印象の点から考えても様々である。患者が抑うつ気分を主訴して訴えることもあれば、身体症状として訴えることもある。これらの患者に対しては十分なアプローチを行うことが必須である。気分障害を呈している患者に対してすぐに行うべき介入は、患者自身と他人の安全を確保することである。すなわち、患者の服や荷物を確認して危険なものや薬剤を除くこと、1対1で観察を行うことが必要であるし、もし自傷他害のリスクが差し迫っているならば患者の医師によらず身体的または薬剤で診察が終わるまで抑制をする必要がある。
◆病歴
 抑うつ/自殺企図の患者を評価するにあたって、柔軟なアプローチで、差し迫った自傷他害のおそれの程度を評価することが必要なアプローチである。患者からの情報だけでなく、家族や友人からの情報も有用である。
 抑うつ症状、患者の機能(個人/家族/社会)への影響の推移をまとめることが鍵となる。増悪寛解因子の存在は治療可能な抑うつ症状の原因を同定するのに役立つかもしれない。影響する因子として、MIなど最近の身体的なイベントや内服薬のリストを入手する。
 精神科的病歴(精神科入院や治療歴があるか、自殺企図があるか、危険行動をするか)を確認する。さらに、不安症状の存在、アルコールや他の薬物の乱用は経過が悪いことや重症であることに関連するので、考慮する必要がある。(以下略)


Q外におけるうつ病患者のリスクマネジメントにおけるピットフォール
◆「この患者はよくQ外に酔ってきてしらふでかえっていく。単に酒飲みで眠いだけなのかと思っていた」
→Q外に頻回にくる患者は急性の変化を見逃されやすい。物質乱用がある患者での自殺率は増加している。よって、バイタルサインの評価ししらふでの再評価を行う必要がある。
◆「患者に(自殺の)計画があるかを尋ねることで、患者にそのアイデアを与えてしまい実行するように促進しているのではないかと恐れてしまった:
→自殺について直接尋ねることで自殺リスクは増加しないことが示されている
◆「患者は単に注意をひきたくて少しのジフェンヒドラミンを飲んだといいました」
→自殺企図の患者が申告する薬の量やタイプはしばしば信頼できず不確実なことがある。
◆「橋を飛び降りることを考えていると患者は家族に話していて単に注意をひきたかったのだと考えたのです:
→すべての患者が自殺企図の際にそれをほのめかすような深刻なことを言う訳ではない
◆「患者は胸の痛みについて話し続けていて、抑うつ気分や希死念慮については話さなかったのです」
→胸痛や腹痛を主訴としたうつ病患者に出会うことは珍しくない
◆「患者は悲しそうに見えていて、足の痛みや倦怠感は気分が沈んでいるだけだと考えたのです」
→精神的な主訴の患者であっても身体の評価は必須である。
◆「患者を1対1で監視する必要はないと思ったんです。患者は自殺したかったといったけれどもとても落ち着いているようだったし協力的だったのです」
→1対1で観察することは必要である。
◆「患者はQ外で暴力的になるようなタイプには見えなかったのです」
→自殺企図の患者は危険なものをもっていないかを確認する必要がある
◆「単に落ちつくために抗不安薬をほしがっているだけだと思ったのです:
→急性の抑うつ症状を呈している患者にたくさんの量の抗不安薬を処方することは危険である
◆「転移性肺腫瘍と診断されたところで患者は人生の終わりだ、死にたいと感じていたようです。そのような診断をうけたあとではそう感じるのは当然のことだと思ったのです」
→ストレスが契機となっている患者でも、患者の安全が確保されるかを常に評価する必要がある。
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2015年11月17日火曜日

Red Eye

必要に迫られて読んだ論文のメモ書き。
The Pediatric Red Eye. Pediatric Clin N Am;2014:61:591-606より。


赤目(red eye)は様々な原因によるし、非特異的である。
結膜、上強膜、胸膜、角膜、眼瞼、鼻涙管の流出障害、網膜やブドウ膜などの眼球内部の異常と様々な原因によって生じうる。原因は、外傷、炎症、感染、異物、構造異常など様々であるし、目の局所的な問題である場合も全身的な問題である場合もある。重要なことは結膜炎は失明にもつながりうるということである。重度の結膜炎は角膜瘢痕を引き起こし視力に影響をきたしうるし、結膜の変性にもつながっていく。


原因の同定には病歴がとても重要である。まずは外傷歴がないかを確認する。片側性か両側性かを同定することが必要である。同時に両眼に生じたのか、片目に症状が生じて数日後にもう片目に症状が生じたのかを確認する。後者はウイルス性の結膜炎を示唆する。
視力の変化を確認することも必要である。次いで、そのほかの症状、たとえば、羞明、痛み、かゆみ、腫脹である。コンタクト・レンズを使用しているかの確認も必要である。また、家族内に結膜炎に罹患している人がいるかどうかも確認する。
red eyeはさまざまな全身性疾患とも関連する。よって原因がはっきりしないときは全身を診察することが必要である。しばしば小児はred eyeを呈する前に様々な全身症状を呈しており、red eyeが診断の手がかりになることがある。


red eyeと関連する全身疾患
・骨髄移植後、GVHD
・放射線治療後
・ヘルペスウイルス感染、水痘帯状疱疹ウイルス感染
・JIA、川崎病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群
・Steven-Johnson症候群、中毒型表皮壊死症
・悪性腫瘍(粘膜関連リンパ組織リンパ腫、リンパ腫、脂腺細胞腫瘍、扁平上皮癌)
・天疱瘡
・自己免疫性結合組織疾患
・ビタミンA欠乏
・酒さ


ウイルス性結膜炎
・症状:流涙、膿性でない分泌、発赤、結膜浮腫が全面にたつ。
・一般的に片目が罹患し、数日後にもう一方の目が罹患する。
・上気道症状やシックコンタクトがあることが多い
・咽頭結膜熱が最も多い。たいてい、アデノウイルスによる。
・ヘルペス
・伝染性軟属腫molluscum contagiosum:眼の近くに生じた場合濾胞性の結膜炎を来しうる。


細菌性結膜炎
・典型的な特徴は両側性の膿性の分泌でああり、発赤、結膜浮腫を伴う。
・一般的に常在菌が起因菌となりうる。Staphylo- coccus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pneumococcus, Streptococcus viridans, Haemophilus influenza, Escherichia coli, and Pseudomonas aeruginosa. 0
・手から目への接触あるいは、感染した鼻咽頭粘膜から上向性に感染する
・急性の細菌性結膜炎は通常3週間以内である。病歴では、発熱やその他のsick contact、随伴する泌尿器や消化管疾患がないかを確認する。
・Neisseria関連の細菌性結膜炎は、非常に膿性であり1日以内で急激に発症する。
・クラミジアトラコマチスは依然として失明や目に長期的な変化をきたす感染性疾患として重要である。疑ったら直ちに眼科医に紹介すべきである
・クラミジアや淋菌の目の感染をみた場合、新生児期でなければ、性的虐待の可能性も考慮はすべきである。


毒物・化学物質への暴露
・患者が毒物や化学物質への暴露を主訴に受診した場合、まずただちに洗浄することが必要である。穿通性の外傷が関与している場合を除いて、洗浄せずに眼科医に送ってはならない。
・洗浄したあと、あるいは患者が洗浄していた場合、洗浄から数分たってから、pH試験紙を用いてpHを確認するべきである。
・視野を確認し、結膜の充血、角膜の透明性を確認する。
・フルオロセイン染色も行うべきである。角膜や結膜のしみがあるなら、角膜擦過傷として48時間後の改善をフォローする。角膜の不染部位があるならば、ただちに眼科医に紹介する。
・アルカリ性物質の方が危険(組織の奥まで浸透するから)


(下記は論文にはあるが、今回は割愛。気が向いたら更新。)
新生児結膜炎
蜂窩織炎
炎症性結膜炎:ぶどう膜炎uveitis、霰粒腫chalazion、眼瞼炎blepharitis
構造異常

外傷・異物

2015年11月12日木曜日

GBS感染

GBS感染症
・GBS(group B Streptococcus)はあらゆる年齢に感染症を引き起こすが、特に新生児に重篤な感染を起こす菌として重要[1]。
・10種類の莢膜型が知られている。最も多いのがtypeⅢ。次いでIaが多い[2]。
・GBS髄膜炎に罹患した児のうち約50%が5歳までの発達過程で何らかの神経学的な障害をきたす。[3]
・新生児~乳児のGBS感染症   生後6日間以内に発症 =Early-onset Disease(EOD)   生後7~89日に発症  =Late-onset Disease(LOD)  *生後90日以降に発症するもの(Late, Late-onset Disease)もあるが、たいていは28週未満の早産児や免疫不全の児でみられる[4]。

EOD
・GBS感染症の60-70%を占める
・90%以上が生後12時間以内に明らかになる
・敗血症や肺炎、髄膜炎を呈するのが一般的
・感染経路:胎内感染、垂直感染
・スクリーニング、分娩中の抗生剤投与により減少傾向
  最大のリスクファクターはスクリーニングをうけないこと

  日本の最近の報告ではLODのほうが多い[5]

LOD
・約50%が髄膜炎を呈する
・感染経路  垂直感染(約半数の児が母と同じserotypeのGBSが同定される)  手指を介した感染(医原性を含む)  母乳感染を示唆する報告もあったが、現在では感染経路とは考えられていない。 ・リスクファクターは早産、母体低年齢、低出生体重[6] ・スクリーニングや分娩中の抗生剤投与が行われるようになってもLODの発生率は変化していない

スクリーニング
・日本のガイドラインでは妊娠33-37週、CDCガイドラインでは35-37週に行うことが推奨されている[7]。
・妊娠中早期にGBS培養が陽性であっても必ずしも後期に陽性とは限らない。
・分娩前5週間以内の培養検査での陰性的中率は95-98%だが、5週間以上だとその率は低下する[8]。
・35-37週のスクリーニングで約4%の妊婦が偽陰性となり、EODの約60%がこの偽陰性となった妊婦から生じる[9]。

LODも同様にスクリーニングの段階では偽陰性の例が約半数あったとする報告がある[10]
<日本のガイドライン>
妊娠33-37週に培養検査を行う
検体は膣入口部ならびに肛門内から採取する
以下の妊婦には経腟分娩中あるいは前期破水後、ペニシリン系薬剤により感染予防を行う
前児がGBS感染症(今回のスクリーニング陰性であっても)
膣周辺培養でGBS検出(破水/陣痛のない予定C/Sでは投与必要なし)
今回妊娠中の尿培養でGBS検出
GBS保菌状態不明かつ以下のいずれかの場合(妊娠37週未満分娩、破水後18時間以上経過、発熱あり)
GBS陽性妊婦やGBS保菌状態不明妊婦の早産時、前期破水時、GBS除菌のために抗生剤を3日間投与する
<CDCのガイドライン>[12]
◆分娩中のGBS予防が必要とされる
・前の児がGBS感染症をきたした
・今回の妊娠期間中に尿からGBSが検出された
・今回の妊娠期間中後期に経膣・経直腸スクリーニングでGBS陽性であった
 *GBSスクリーニングは妊娠35-37州が望ましい
・下記の状況で、分娩開始時にGBS感染の有無が不明な場合(培養が行われていないか不十分、結果未着など)
 ・妊娠37週未満での分娩
 ・破水から18時間以上
 ・分娩時に38度以上の発熱
 ・分娩中の拡散増幅検査でGBSが陽性であった
◆分娩中のGBS予防が必要とされない
 ・前回の妊娠でGBSが分離された(上記を満たさない場合のみ)
 ・前回の妊娠で尿からGBSが検出された(上記を満たさない場合のみ)
 ・分娩中のリスクファクターによらず、今回の妊娠期間中後期での経膣・経直腸スクリーニングが陰性であった
 ・GBS分離の状況や妊娠期間によらず、羊膜が正常で分娩開始前に帝王切開が施行される場合

予防
・GBSの予防接種があれば、スクリーニングや分娩中の抗生剤投与から漏れてしまった人(スクリーニングで偽陰性だった、墜落分娩、28週未満の早産)の予防ができるかもしれない[11]。 ・現在のところ認可された予防接種はない ・非妊婦における試験はクリアし、妊婦を対象にしたtrialが行われているところである。 ・手洗い



1. Prevention of Perinatal Group B Streptococcal Disease; guidelines from CDC,2010
2. Characteristics of Group B Streptococcus Isolated from Infants with Invasive   Infections: A Population-Based Study In Japan. Jpn.J.Infect.Dis;2014:67:356-360

3. An overview of global GBS epidemiology.Vaccine;2013:31S:D7-12.
4. Group B streptococcal infection in neonates and young infants; up to date
5.厚生労働科学研究費補助金「新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業」
「重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析,その診断・治療に関する研究(H22‐新興一般‐013)」
6.Risk Factors for Late-Onset Group B Streptococcal Disease Before and After Implementation of Universal Screening and Intrapartum Antibiotic Prophylaxis. J Pediatric Infect Dis Soc. 2015 Oct 12. pii: piv067. [Epub ahead of print]
7.産婦人科学会産婦人科ガイドライン2014より
8.Neonatal group B streptococcal dissease:Prevention Up to Date.
9.Evaluation of Universal Antenatal Screening for Group B Streptococcus. N ENGL J MED;2009:360(25):2626-35
10. Group B Sterptococcus Late-Onset Disease; 2003-2010. Pediatrics;2013:131(2):361-368
11. Bacterial Meningitis in Infants. Clin Perinatol;2015:42:29-45
12.prevention of perinatal group B Streptococcal disease;revised guidlines from CDC,2010